外科

擦り傷

転倒などにより皮膚が地面に擦れて生じる浅い創傷を「擦り傷」といいます。主に手や膝、肘に発生しやすく、皮膚表層には神経が密集しているため、強い痛みを伴うことがあります。

擦り傷は異物（砂や土など）が混入しやすく、それにより感染を起こし化膿したり、瘢痕が残る可能性があります。土壌由来の細菌により、破傷風を引き起こす危険もあるため、速やかな処置が必要です。汚れを流水などで洗浄した後に、適切な処置を行います。

火傷（やけど）

医学的には「熱傷」と呼ばれるもので、高温の液体や物体と接触したことによる皮膚や粘膜の損傷を指します。44〜50℃程度の比較的低温でも、長時間接触すれば「低温熱傷」を引き起こすことがあります。

火傷は深達度によって以下のように分類されます。

Ⅰ度熱傷

表皮に限局する軽度の熱傷。発赤とヒリヒリとした痛みを伴います。

Ⅱ度熱傷

真皮まで及ぶ熱傷。浅達性では赤みと水疱が、深達性では白色調の水疱やびらんが生じ、瘢痕が残る可能性があります。

Ⅲ度熱傷

皮下組織に達し、壊死組織がみられる重度の熱傷。神経が損傷されるため痛みを感じにくいのが特徴です。

初期対応として、まず火傷部位をすぐに冷水や氷嚢などで冷却してください。治療は深度に応じて、外用薬による保存的療法から壊死組織の除去・植皮手術まで多岐にわたります。

粉瘤

皮膚の下に袋状の組織が形成され、内部に皮脂や角質などがたまって腫瘍状にふくらむ良性腫瘤です。中央に黒点がみられることが多く、放置すると感染・化膿するリスクがあります。
当クリニックでは、感染している場合には切開による排膿、再発予防を目的とした摘出手術を状態に応じて行っております。処置の範囲や腫瘤の大きさによっては、局所麻酔での日帰り対応が可能です。

縫合後の抜糸・術後の創部管理

救急外来や他院で切り傷などの縫合処置を受けたあとの抜糸対応も承っております。傷の治癒状況を確認しながら、適切なタイミングで抜糸を行うとともに、感染や瘢痕形成の有無を丁寧に確認いたします。
また、処置後のガーゼ交換や再縫合の要否、外用薬の継続可否など、術後経過観察も含めた対応を行っています。他院で処置を受けられた方も、遠慮なくご相談ください。

鼠径ヘルニア

一般に「脱腸」と呼ばれる疾患で、腹部内臓の一部（多くは腸管）が筋膜の隙間から皮下に突出する状態です。主に足の付け根（鼠径部）に生じ、柔らかい膨らみとして認識されます。
鼠径部に痛みを伴うことがあります。
初期には膨らみを寝た状態で手で押さえると元に戻りますが、進行すると押しても戻らず硬くなり、腹痛や吐き気を伴う「嵌頓（かんとん）」状態に陥ることがあります。この場合は緊急の医療介入が必要です。小児、高齢者に多い疾患です。
治療は原則手術となります。当クリニックでは鼠径ヘルニア手術に精通した医師が診察し、連携する医療機関を速やかにご紹介させて頂きます。

胆石症

胆のう内に結石が形成される疾患で、右上腹部の強い痛みや背中への放散痛、吐き気、脂っこい食事の後の不快感などが主な症状です。軽症であれば経過観察となることもありますが、炎症を伴う場合や結石が胆管に詰まった場合には、緊急治療や手術が必要になる場合があります。血液検査や腹部エコーによる評価を行い、必要に応じて、適切な連携機関に速やかにご紹介を行います。

肛門疾患（痔核・裂肛・膿瘍など）

出血・痛み・腫れ・かゆみなど、肛門部に関する不快な症状を訴える方は少なくありません。代表的な疾患としては、いわゆる「いぼ痔」とされる痔核、「切れ痔」とされる裂肛、膿がたまる肛門周囲膿瘍などが挙げられます。お尻に強い痛みがある場合は、緊急処置が必要な場合もございますので速やかに受診してください。
当クリニックでは、問診・視診による初期評価を行い、保存治療（薬物療法）を行います。重症例で、手術治療が必要と判断される場合は専門の肛門外科をご紹介いたします。

悪性疾患の疑い（がんの疑い）

健診でがんの疑いを指摘され、要精査となった場合の対応はご相談ください。また、しこりに気づいた、2週間以上続く発熱、急激な体重減少などの症状がある場合は悪性腫瘍が原因である可能性を考慮する必要があります。しばらく続いている体の不調は、我慢せずにご相談ください。
当クリニックでは、診察および必要に応じた画像検査・病理検査の手配を行い、精査・加療が必要と判断される場合には、速やかにがん診療に対応する専門医療機関をご紹介いたします。